日本語がうまいと英語もうまくなる?

日本語のうまい人は英語もうまい

『日本語のうまい人は英語もうまい』。このタイトルに同感だったので、図書館で借りてみました。

考えてみれば日本語も英語も言語であり、人に何かを伝えるための道具です。文章の構成の仕方は違っても、日本語を組み立てて自分の考えていることを伝えるのが上手な人は、英語もうまいに違いない、と私も思っていました。

これははじめ、自分の経験から気がつきました。私は昔、日本語の作文が下手くそでした。下手くそっていっても、書くのは書けるのですよ。でも全然論理的ではなく、独りよがりな文章でした。意味のよくわかっていない言葉を使って、説明した気になっていることが多かったように思います。

その頃、外資系企業への転職が決まり、いきなり英語環境で働くことになりました。研究開発の仕事でしたが、実験室で実験や研究に明け暮れる日々ではなく、ほとんどデスクワークでした。比率で行くと、ラボワーク:デスクワークが2:8ぐらいでしょうか。もしかしたら1:9といってもいいかもしれません。

それぐらい、とにかく文章を書くのです。メールはもちろん(しかも毎日山のように処理して)、報告書を毎日何かしら書いていました。すべて英語で。

英語ができなかった私だったので、それはもう大変でした。時間もかかるし、添削してもらえたのですが、よく言われたことは、「何書いてるか意味がわからない。」

ガーンΣ(゚Д゚|||) ショックでした。まだ未熟とはいえ、プロとしてした仕事なのに、意味がわからんと・・・。とほほ。

今になってわかるのは、そのとき私には2つ問題がありました。ひとつは、日本語で書く文章を考えて、それを英語に訳していたこと。もうひとつは、日本語が下手くそだったこと。

ひとつめは、ここでのテーマではないので省略します。日本語ってね~私たちネイティブにとっては、気がつきにくく、厄介なことがあるのです。

それは自分でもはっきり意味がわかっていない言葉を使って、説明した気になれる、ということです。特に日本語は曖昧とまではいかなくても、雰囲気を漂わす文章って書けるのですよね。「日本語は」というよりも、高度な日本語を中途半端に操れる(?)ものだから、曖昧な雰囲気を醸し出す文章を書けるというか、書いてしまうのです。論理的に書くより楽だしね。

文章力に長けた人はそんなことないのですが、何となく文章を書いて特に文章の構成にも興味がなければ、そのことに気づきもしません。私はそういうタイプでした。

それが英語で書かなくてはいけなくなり、それなりに一生懸命英語を考えて書いていました。その文章を見てもらって、「何が言いたいのかわからない」と言われ、はじめは言われた言葉の意味がわかりませんでした。

「は?なんでわからんねん!あんたの読解力がないだけやろー!」と内心思っていました。でも何度もそういうことがあったり、そこまできつく言われないにしても、どうも書いていることが通じてない、という経験をしたり。

そういうことを繰り返すうちに、読み手を意識するようになりました。詳しくは書きませんが、最終的には英語は書くスキルが一番伸びて、書いたレポートもわかりやすい、と言われるまでになりました。そして気がつくと、私が書く日本語も変わっていることに気がつきました。

前ほど独りよがりな文章ではなくなりました。前よりもわかりやすくなりました。読んでわかりやすいと言われるようになりました。t>

その後、日本語でも書くことが好きになり、いろんな文章を書いているうちに、ますます文章を書く難しさを知り、選ぶ言葉や構成の大切さを感じ、今も学んでいる最中です。

自分の言いたいことをうまく表現できたと思ったときは、とても気持ちがいいです。あら?私ったら本の紹介をしていませんでしたね。

ここまで書いてきたことと同じことなのですが、著者は日本語がうまい人は、英語もうまいと主張しています。「うまい」というのは、必ずしも流暢さとは関係ありません。ぽつぽつとしか話さなくても、言葉を選んで正確に言いたいことを伝えることができるような人が「うまい人」なのだ、と著者は書いていました。

興味深かったのは、TOEICとJLPT(日本語能力試験)を同一人に受けてもらい、相関性があるというデータを紹介していたことです。つまり、TOIECで高得点の人は、日本語能力のテストでも高得点である傾向があるというのです。

この本の中では、言いたいことを伝えるために必要なのは、構文よりもキーワードであると書かれてました。「なるほど、やはりなぁ」というのが私の感想です。

また、この本には流暢な日本語でも、聞いていていったい何を言っているのかがわからないときがある、と著者は書いていました。「あるあるある~笑」。私はありますね~。いくら話しをしても、話のポイントが見えてこないときがあります。

その反対に、すごくわかりやすい話し方をされる人もいます。そういう人と仕事をすると、すごくやりやすい(笑)

英語も同じです。流暢に話せたとしても、結局何が言いたかったのだろう?と思われたくないと思いませんか?それよりも、ポツポツとしたしゃべりでも、きちんと相手に伝わる話ができれば、意思疎通もスムーズにできて、信頼度もアップします。日々、コミュニケーション力を高めていきたいと思います。

念のため付け加えますが、コミュニケーションは言葉だけではないですよね。対面のときは視線・表情・しぐさ・ジェスチャーなども重要ですね。