市民も参加して作る図書館

2016年2月15日14:30から、コスメイト行橋にて佐賀県伊万里市図書館の古瀬館長による基調講演がありましたので、行ってきました!
基調講演のテーマは「家読(うちどく)の推進とこれからの図書館」でした。これから行橋市民で「私達の図書館」を実現する活動の序章、といったところでしょうか。図書館運営で話題になっている伊万里市図書館から、今の図書館を作り上げた活動の先頭で指揮を取っていらした館長の講演会です。これはすごい!すごいわ、行橋市図書館!

市民のための図書館とは?

まず始めに、私は図書館に対して知識が豊富なわけではありません。4年前に行橋市に移り住み、当時の行橋市図書館の館長に出会うまでは、図書館とは本を借りる場所だという認識しかありませんでした。そんな私が、いつのまにか図書館とは?家読とは?なんて考えているのだから、不思議なものです。

つまりそれは、以前の私のように「図書館は本を借りるところ」という認識しか持っていない人でも、図書館について語る人が近くにいるだけで「私たち市民にとっての図書館とは?」と考えるようになるということでもあるのです。そういう意味では、私のような一市民が図書館について学び、家族や身近な人に伝えていくことで、住民の意識は思うよりも簡単に変わる可能性があるということです。

伊万里市図書館の歴史

講演会では、今の図書館ができるまでのお話を聞きました。小さなまちの小さな図書室でしたが、大阪から造船会社が入ってきたために住民が一気に増えたそうです。そういう経緯もあり、図書館作りをすすめる会が発足し、市と市民との協働、情報公開、視察、講座などで情報を共有し、発展させてきたそうです。さまざまな問題を乗り越えて、市民ひとりひとりの力は小さいけれど、市民が集まることによってとても大きな力になるのですね。伊万里市では、すべての小さな活動が1つの目的へと結集し、それが大きな力となって、市民のための図書館として誕生したのですね。誕生したら活動は終わりなのではなく、図書館ができて20年経った今でもよどみなく活動が継続し、全国的にも有名な図書館として大きな存在を感じさせてくれます。

市民が集う図書館

講演を聴いて私がとても感動したのは、運動の先頭に立っていた方々が市民の力を非常に上手く集結し、まとめ上げていかれた経緯です。まず図書館をどういう場所にしたいのか、そのためには何が必要かを、市民を巻き込んで徹底的に考え抜いたのだと思います。「図書館をこうやって利用したい」という声を拾い上げ、その希望をかなえるために必要な設備を作り上げる。それにより利用したい人たちが集まってくるという図式。図書館という建物を作って、本棚に本を入れて終わりでは、本を借りにくるという利用しかないでしょう。けれど「図書館をどういう場所にしたいのか」というところを出発点としたところが、図書館という建物の中にたくさんの本を置いただけの施設との決定的な違いですね。

市民が集う図書館作りを実例をあげながらお話しされていたので、とてもわかりやすかったです。ボランティアの存在が図書館を支え、ボランティアもまた、図書館の存在で活動できるという関係性。市民は一人ではできないことを、ボランティアという組織を作ることで実現可能になります。ただの人助けのボランティアではなく、自己実現のためのボランティア活動。そしてその活動が他の市民の生きがいになり楽しみになる。この素晴らしい関係作りに感動しました。

ボランティアって?

余談ですが、ボランティアとはそもそも人助け的な活動ではないと、私は考えています。確かにボランティアの活動によって、恩恵を受ける人がいるはずです。そして活動している人も自分の活動を喜んでくれる人がいることは励みになります。けれどそれ自体がボランティアで活動をする原動力にはなっていないと思います。「活動そのものが好きだからする」、「人が集まることでやりたかったことができる」という自己実現の場だからこそ、その活動が長続きするのだと思います。ボランティア活動が長く続いている理由は、まさにそこにある気がしています。活動が楽しくて仕方がない、生きがいになっているということなのではないでしょうか。

市民参加型の図書館とは

市民参加型の図書館とは、市民が常に図書館の本の利用者でしかないような場所ではありません。図書館へ行けば新しい出会い・発見がある、悩みが解消する場所なのではないでしょうか。人との出会いや知らなかった知識との出会いがあります。ただの貸本屋ではなく、そこに目的を持った人が集まることにより、新しい人生の扉が開く可能性もあるのです。市民のボランティア活動があっての図書館、図書館があっての市民のボランティア活動。両者が支えあって成り立っているのが市民参加型の図書館なのではないでしょうか。

伊万里市の市民活動団体 「図書館フレンズいまり」

伊万里市図書館が誕生から今日までの20年間、途絶えることなくボランティア活動が継続しているのは「図書館フレンズいまり」という市民活動団体があるからだと、お話を聞いてそう思いました。その他いくつかのボランティア団体も図書館を盛り上げる活動を行っています。それぞれの活動の中心は図書館であり、組織の横のつながりは強固です。そういう横のつながりも大事ですね。

子ども読書活動 家読(うちどく)

家読(うちどく)をご存知ですか?私は行橋市に引っ越して初めて耳にした言葉です。家読とは、学校から子どもが本を数冊持ち帰ります。そして家庭内で話し合って読書を楽しむ活動です。家読に細かいルールはないそうです。大事なポイントは「楽しみとしての読書」です。
以上は家読とはどんなことをするのかの簡単な説明でしたが、以下、私の言葉で家読の意義を綴ります。

私が考える家読

活字離れといわれ始めてかなりの年月が経ちますが、子どもばかりか親の活字離れも相当なものではないかと思われます。家に帰ると親も子も、個別にテレビやゲームを楽しんで、本来あるはずの家族の交流が少なくなっているようです。家読は単に子どもに本を読んでもらおうというものではなく、子どもが家に本を持ち帰り、家族みんなで本を読む習慣を作ることにより、バラバラだった家族の絆を取り戻す試みでもあるのでしょう。

子どもは親の言うことは聞きませんが、親のすることは真似ます。親が本を読んだり新しいことを学ぶ姿勢がないのに、子どもに読め、学べと言っても説得力はなく、まともな子どもなら言うことを聞かないでしょう(笑) 家読は親の活字離れをも阻止してくれるいい機会だと思います。同じ本を読めば、自然に会話は生まれます。

子どもは親と会話する楽しさを思い出し、親も同様に子どもと会話する楽しさを思い出します。それがまた次の本を読む動機につながれば素晴らしいですね。読書はさせるものではなく、するものです。だから子どもが自分からすすんで本を手に取るべきなのです。その動機として「楽しいから」は、非常に強い動機であり、それだけで十分だと私は考えます。

結果として子ども達に読解力がつき、語彙が増え、コミュニケーション力が上がり、集中力がつき、想像力・思考力がつき、家庭円満にもつながるのだと思います。勉強というゴールをちらつかせると、家読はとたんに魅力を失います。気をつけたいところですね。

我が家の家読

我が家は6歳の男の子が一人と私と夫の3人家族です。今保育園の年長組で、今春から小学校へ通います。私の趣味は洋書の多読で、子どもが生まれる前から毎日洋書を読んでいました。出産のため入院するときにも洋書を持っていくくらい好きでした。実際は陣痛が痛くて読めませんでしたが(笑)

子どもが生まれてからも、おっぱいをあげながら、寝かしつけながら洋書を読みました。その流れで洋書の朗読(音読)を毎日続けていたので、子どもには新生児のときから読み聞かせをしていたことになります。そのまま自分の好きな洋書から子ども向けの洋書・和書(絵本)へと少しシフトして、日本語の絵本、英語の絵本を主に読み聞かせるようになりました。

今も毎日夜寝る前に、日本語の絵本と英語の絵本を読み聞かせしてから寝ます。日本語の絵本は、子どもに絵本を選ばせています。英語は主に私が選びますが、子どもの意見も聞いて選んでいます。

小学校へ行くと、学校から家読の活動として本を持ち帰るようになると思います。私は子ども時代にあまり本を読まなかったので、子どもと一緒に読むのを楽しみにしています。読み聞かせしていると、日常の会話の中に絵本のセリフなどが出てきて、それがまた楽しいのです。パロディ化したりして笑いあったりすることも。

幸い我が家は誰もゲームをしませんし、家にテレビもありません。家読にはもってこいの家庭環境なのです。テレビがついていると、どうしても目や耳がそちらへ傾いてしまいがちです。私は家族の、特に夫婦間の会話がなくなることを危惧して、テレビを買うことに猛反対しました。今ではテレビがない生活が当たり前で、テレビなんて必要なの?とすら思うようになりました。そういう私は昔、完全にテレビっ子で、家で一人の時には必ずテレビをつけていました。ご飯を食べるときにすら、見ていたくらいです。

家読を進めるためにも、「週に一度はノーテレビデーを」と言われていますが、テレビの音がないことに始めは違和感を覚えるかもしれませんが、やってみるとすぐに慣れると思います^-^

おわりに

今回の基調講演にて、とてもわかりやすく、経験に基づいた具体的な図書館作りと家読の様子やデータを共有してくださった古瀬館長、ならびに講演会を企画してくださった関係者の皆様に、深く感謝いたします。「私達の図書館」と言われても、鮮明なイメージが作れずにいた私ですが、今回のお話で鮮やかにイメージを描くことができました。今活動中の「英語絵本の会」が、これからの図書館作りにも貢献できればとても嬉しいと思いました。ありがとうございました。