ネズミの逃亡策は功を奏するか

苅田町図書館の洋書レビューです。行橋市にお住いであれば、苅田町立図書館の本を借りることができます。詳しくは苅田町立図書館のカウンターでお問い合わせください。(注 アイキャッチ画像は、苅田町立図書館ではなくイメージ画像です。)

Mouse Soup おはなしばんざい

洋書のタイトルは『Mouse Soup』。日本語のタイトルは『おはなしばんざい』です。人気シリーズ『がまくんとかえるくん』(『Frog and Toad』)の著者、Arnold Lobelさんの絵本です。私の大好きな作家さんの一人です。

『Mouse Soup』もまた、『がまくんとかえるくん』みたいにどこか抜けていて、でもなんとなく憎めないキャラが出てきます。weasel(イタチ)です。ネズミさんを捕まえて、スープを作ろうとするのです。ネズミさんはお鍋に入れられ、ピーンチ!知恵を絞って、おいしいスープの作り方があるんだ、と言ってイタチの気を引きます。

その作り方とは、ネズミとお話を混ぜるというのです。そうするとおいしいスープが出来上がると。ウソなんですけどね。イタチはお話なんて知らない、というので、ネズミはお話をイタチに話して聞かせます。

さ~て、おいしいスープは出来上がるのでしょうか。そのお話というのが4つあって、短いお話なのですが、とてもいいお話です。私は大きな石のお話と、Thorn bush(とげのある低木)のお話が好きです。このお話ではLobelさんらしい世界観を見せてくれました。常識的な枠にとらわれずに、心を自由にして、想像力を豊かにしてくれます。

大きな石のお話は、特に私の好みですね。見た人の視点で語られた事実だけで、世界を知った気になることができ、そしてそれで不満を抱いたり満足したりもできる。そういう真っ只中にいる本人は自覚できないのだけど、こうして物語として読んでいると、滑稽に見えてくるのです。自分もそうなる可能性が大きいだけに戒めのように感じます。

Mouse Soupの結末は・・・洋書を読んでみてくださいね!

おまけ・未知の単語を推測する楽しみ

thornという単語、一般的な英語学習の中では、頻繁に目にする単語ではないと思うので、誰でも当然のように知っている単語ではないかもしれません。でもこの絵本を読んでいると、なんとなく察しがついて、物語の最後には「わかった」と思える単語です。辞書を引かないで単語の意味を知るいい機会になりそうです。そういう体験をたくさんすることで、辞書を引かずに文章の流れから意味を推測することが上手になっていくと思います。

YL 1.4
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