美容ライターが本音をぶちまけるというコンセプトで、化粧品業界で化粧品を開発、実際にモノを作っていた私が話題になっている化粧品について感じたこと、調べてわかったことを伝えます。今回はシズカゲルとシミトリーについてです。
成分が似ているだけじゃない!シズカゲルとシミトリーの事実
この間、化粧品記事を書いていてふと見つけてしまった事実。ググってみると、誰もそのことに言及している人はいない。それに近いことを指摘している人、つまり成分がとても似ていると指摘している人はいるけど、まさかここまで調べて似ている理由を突き止めようとする人はいないんだろうと思いました。
普通の人はあまり考えたことないから、疑問に思わないので「ひょっとして?!」なんて思って調べたりしないのだと思います。それもこれも、化粧品メーカーで働いていたからこその思考回路なんだと。些細なことだけど、読んでもらえますか(笑)
美容ライターの仕事で、シズカゲルを徹底的に分析することになったのです。商品も手に取り、実際に使ってみました。全成分をチェックし、シズカゲルのサイトも一通り目を通し、コンセプトを理解し、テクノロジーについてはシズカゲルのサイトでは明確に書かれていないので推測し、気になる成分も一つ一つ調べました。
誰も言わないシズカゲルとシミトリーの秘密?!
記事を書きあげるために、シズカゲルの「独自技術」について調査していると、非常に似た技術を使っている会社を見つけました。それがシミトリー。
化粧品の処方開発している者には、別に不思議ではないことです。なぜなら化粧品原料(化粧品成分)を売っている会社は、成分単体を売るだけではなく、あらかじめいくつかの成分を混合した「プレミックス」と呼ばれる化粧品原料も売っています。
どういうことかいうと、プレミックスとは例えて言うと加工食品みたいなもの。家で作るのが面倒なので、途中の面倒な工程を工場で作ってくれて、その後の簡単な工程を自宅で行い、手間いらずの料理を作るのに似ています。カレーのルーと似たようなものといえば、わかりやすいでしょうか。
つまりプレミックスとは、例えば溶けにくい原料をある技術を使って水に溶けるように(可溶化)したり、ある技術を使って複合成分にして特定の機能性を持たせた原料のことをいいます。
シズカゲルの「独自技術」について、私はおそらくどこかの原料供給会社のプレミックスだろうと推測していました。シズカゲルの公式サイトでは、その独自技術の内容がわからなかったので調査しました。すると重要なキーワードでヒットした情報の中に、ある化粧品が出てきました。それがシミトリーです。
よく見てみると、どうやらシズカゲルの「独自技術」と同じだということがわかりました。それでシミトリーと全成分を比べてみると酷似しているじゃないですか。その点もググってみると、全成分が酷似していることは、すでにたくさんの化粧品情報サイトで言及されていることを知りました。
本当に似ているんですよ。シズカゲルとシミトリーの全成分は下記の通りです。
シズカゲルの全成分
【その他成分】
フランスカイガンショウ樹皮エキス、ビルベリー葉エキス、3-O-エチルアスコルビン酸、テトラ 2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、ユキノシタエキス、マロニエエキス、シア脂、カンゾウフラボノイド、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、オリブ油、スクワラン、1,3-ブチレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリル、硬化ナタネ油アルコール、1,2-ペンタンジオール、精製水、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アルギン酸ナトリウム、水素添加大豆リン脂質、天然ビタミン E、カルボキシビニルポリマー、水酸化ナトリウム、フェノキシエタノール
シミトリーの全成分
【その他の成分】フランスカイガンショウ樹皮エキス、ビルベリー葉エキス、3-O-エチルアスコルビン酸、ユキノシタエキス、マロニエエキス、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、シア脂、カンゾウフラボノイド、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、オリブ油、スクワラン、トリイソステアリン酸グリセリル、硬化ナタネ油アルコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ブチレングリコール、精製水、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水素添加大豆リン脂質、天然ビタミンE、水酸化ナトリウム、フェノキシエタノール
こうやって書いてもよくわからないので、もう少し見やすい表を作ってみました。
(表)
シズカゲルとシミトリーの全成分を表にして、さらにそれぞれの成分の順番を変えないで同じ成分のものを横に並ぶようにしてカラムをずらしていくと、この表になりました。
見てわかるように、使っている成分は全く同じです。空白の所がありますが、成分記載の順番が違っているためです。矢印を書き足していますが、矢印通りに成分を動かすと、シズカゲルとシミトリーは全く同じモノになることがわかります。
うちに、ふと・・・。手元にある商品のパッケージに記載があった事項がよみがえり、「ん?( ,,`・ω・´)ンンン?」となり、自分の推測が正しいかの調査が始まりました。
シズカゲルとシミトリーは同じ工場で作られている
シズカゲルとシミトリーの成分が非常に似ていることは、ちょっと調べたらいろいろなサイトで同じことを書いているのでわかると思います。
でも成分が似ているだけじゃなく、同じ工場で作られているのです。工場はパッケージに「製造販売元」として記載されています。これは記載しなければならない事項なのです。
シズカゲルとシミトリーの製造販売元を見てみよう
私が持っているシズカゲルのパッケージには、製造元が以下のように書かれていました。
そしてシミトリーのパッケージに記載されている製造販売元も同じで、株式会社東洋新薬 佐賀県鳥栖市弥生が丘7-28。
発売元と製造販売元ってどう違う?
シミトリーの発売元は、株式会社フォーマルクラインです。この発売元の会社と、製造販売元との関係も、インターネットで調べると簡単にわかります。
下のURLは、株式会社フォーマルクラインのサイトの中の、会社概要のページです。
https://www.formalklein.com/company
このページの中の「社長あいさつ」のところに次のような記述がありました。
フォーマルクラインは医薬品・医薬部外品・化粧品・健康食品の研究開発・受託製造を手がける株式会社東洋新薬を母体として、2006年に設立されました。
そして株式会社東洋新薬のサイトを見てみることに。下がサイトです。
会社の「沿革」が書かれているページを開くと、2006年に「株式会社フォーマルクライン設立」と記載があります。つまり、株式会社フォーマルクラインという化粧品会社の母体は株式会社東洋新薬ということになります。
多くの方はご存知だと思いますが、発売元と製造販売元について念のため説明しておきますね。発売元とは、商品を売り出している会社。発売元が製造しているとは限らないのです。どこか別の会社の工場で作られた商品を自分とこの会社の名前で売る場合、その売り出している会社を発売元と呼びます。
製造販売元とは、実際に商品を作っている会社のことをいいます。発売元と製造販売元が同じこともあるし、違うこともあります。
小さな化粧品会社は自社で工場を持っていたとしても、設備やコストなどの関係で他社に製造を依頼することはよくあることです。以前私が勤務していた製薬会社でも、他社が製造した商品を自社のブランドとして販売していました。特にめずらしいことではなく、当たり前に行われていることです。
じゃあ株式会社東洋新薬ってどういう会社?
シズカゲルやシミトリーに興味のある方はご存知だと思いますが、株式会社東洋新薬は化粧品成分の開発をしています。フラバンジェノール®は東洋新薬が開発した化粧品成分です。
東洋新薬はこの他にも化粧品技術の開発や健康食品分野などにも事業を展開していますが、化粧品のOEMもしています。OEMとは original equipment manufacturerの頭文字を取った言葉で、他社ブランドを製造することです。
これがシズカゲルとシミトリーの関係
つまり、株式会社フォーマルクラインの母体である株式会社東洋新薬が、シミトリーもシズカゲルも製造しているということです。使用している成分も全く同じ、違っているのは数種類の成分の配合量だけです。
じゃあ値段は?ということで、容量と値段を比べてみましょう。
シズカゲル 60g 医薬部外品
アマゾン:3,500円(送料無料)<2019年1月7日現在 価格は変動します>
上記画像はアマゾンへのリンクなので、購入される場合は画像クリックで商品ページに行けるので便利です。キャンペーン中だと、公式サイトからの購入のほうが安いかもしれません。公式サイトでの購入は下記の画像リンクから行くと便利です。
シミトリー 60g 医薬部外品
アマゾン:6,400円(送料無料)<2019年1月7日現在 価格は変動します>
上記画像はアマゾンへのリンクなので、購入される場合は画像クリックで商品ページに行けるので便利です。キャンペーン中だと、公式サイトからの購入のほうが安いかもしれません。公式サイトでの購入は下記の画像リンクから行くと便利です。
比較してみて、どうでしょうか。シミトリーはなんでこんなに高いのでしょうかね。中身はほとんど同じなのですが。
シズカゲルとシミトリーは実際に効果あるのか
実際、ここが最も気になるポイントだと思います。私はシズカゲルを実際に使って、美容ライターとしてシズカゲルのレビュー記事を書いたので、同じことは書けません。でも要点だけ、伝えたいと思います。
ネットに流れる胡散臭い情報に騙されるな
なんかね・・・こういう小さな小さな化粧品を販売している会社にありがちなこと。それはインターネットで商品名を入力し、検索すると出てくる「●●は効果なし?!」とか「●●の効果は嘘!」とか「●●の悪い評判を暴露」のような、いかにも●●を否定しているようなサイト。
あれ、気分悪いです。多分、一方で持ち上げられて注目されて、自称モデルの類が加工しまくりのアンドロイド(ロボット)みたいな肌、デカい目、つけまつげバシバシの姿と●●の写真をインスタなどにアップして、フェイスブックにもうるさいほど広告出してくるあの類。
多分ああいうのは、その商品が気になっていて、でも良い事しか目にしないから欠点も知って、冷静に判断しようと思っている人たちを食い物にするサイトでしょう。その証拠にタイトルが「暴く」とか「嘘!」と書いていながら、中身は●●を買わせるための広告だらけ。1つや2つじゃなく、あちこちにしかけを設けています。
そういう胡散臭いサイトにまんまと騙されないようにして欲しいです。たまたまこの弱小サイトに来てくださった人、ありがとうございます!美容サイトの上位はほぼメディアを運営する会社に占領されているのが現状。私は美容ライターとして、そのような企業に仕事をもらって記事を書いているわけですが、記事の中に嘘は書かないように努めています。
また、書けない事は書けないと言わせてもらっています。一度けなすようなことも書いたことあるのですが、やはり会社としてそれはNGということで、削除されました。それでもまだ雇ってもらえているなんて。感謝感謝です!
そういうことで、この私のサイトでは思いっきり正直に書きたいと思っています。根拠のない否定も絶対にしません。
シズカゲルとシミトリーの中身について
元化粧品開発者(元化粧品技術者)として、シズカゲルとシミトリーの成分を見てわかったことを書きます。この情報は、おそらくどのサイトにも書いていないようなレアな情報になります。
まずは有効成分はアルブチン。これは厚労省で美白作用が承認されている成分ですね。美白作用が承認されているといっても、実際にこういうのを使ったところでシミが薄くならないという人は多いと思います。その理由は後程。
次に注目したい成分はフランスカイガンショウ樹皮エキス(フラバンジェノール®)。エキスなのに配合量が一番多い?!このような化粧品は少ないと思います。理由は簡単です。高価なので、高配合できないのです。原価が上がると価格も上げなければ採算とれないから。
原料会社は化粧品メーカーにエキスを売り込みに来ます。その際に自社で研究したデータを持ってくるのです。それを見ると、何%でこんな効果があったというデータがずらりです。
確かに効果はあるのだと思います。けれどそのデータはどんな実験をした?というのが、サイエンティストの考える事。数字やグラフだけ見るのではありません。インビトロなのかインビボなのか、実際にヒトに使ったとしたら何人でどんな条件でどのように測定したのかなど。
そういうことを検討してその成分を採用するとしても、果たして原料メーカーの推奨する配合量を守るかといえば、そうではないのが一般的。つまり、効果が出るほど配合していないのが常。
私が現役の時、処方を一緒にしている先輩・上司が「エキスはイメージを持ってもらうためのもの」と言い切っていました。それほどのものと思ってください。エキスの種類(エキスの価格)によりますが、0.001%なんてザラ。これに対して原料メーカーの推奨する濃度が5%だったりする。それが現実。
それでフランスカイガンショウ樹皮エキス(フラバンジェノール®)が全成分表示の一番前に来ているということで、最も配合量が多いのか~と少し驚きました。いったいどれぐらい配合されているのでしょうね。フランスカイガンショウ樹皮エキス(フラバンジェノール®)の原価を知らないので、推測のしようがありませんが。
フランスカイガンショウ樹皮エキス(フラバンジェノール®)とは東洋新薬が開発した成分で、高い抗酸化作用を持つと言われています。抗酸化作用がある成分は、アンチエイジング化粧品に多く使われています。美肌に酸化作用のある物質は大敵です。シミはチロシンというアミノ酸が酸化することで反応が進んでメラニン色素に変化します。シワは活性酸素が肌の弾力性を保っているコラーゲンを破壊してできます。抗酸化作用のある物質は、シミ生成反応を阻害したり活性酸素を除去してくれるので、シミやシワにも抗酸化作用のある成分は有効と言われています。
もしもフランスカイガンショウ樹皮エキス(フラバンジェノール®)が十分効果を発揮できる配合量であるのなら、抗酸化作用にも期待できそうです。
公式サイトでも嘘・行き過ぎた文言があるので注意!
次に化粧品技術、薬事などを知っている元化粧品開発者の私が、ライターの仕事でシズカゲルの公式サイトを見た時に、誤解されやすいと感じたことの中から、いくつかを取り上げたいと思います。
シズカゲルは「界面活性剤フリー」ではない
シズカゲルの公式サイトに、「界面活性剤不使用」と書かれていますが、界面活性剤は入っていますからね。水素添加大豆リン脂質が界面活性剤です。界面活性剤とは水と油を混ぜる働きがあります。界面活性剤=悪者というイメージが先行していますが、事実はそんなことはありません。
界面活性剤は非常に種類が多いのです。シズカゲルとシミトリーに配合されている水素添加大豆リン脂質は、天然界面活性剤である大豆リン脂質(レシチン)に水素を添加して安定化させたものです。レシチンが天然ものであることは、みなさんご存知のことと思います。そのレシチンに水素添加という「合成」工程を加えたものが水素添加大豆リン脂質。天然由来の合成界面活性剤と呼んでも決して間違いではありません。
そもそも天然は良くて合成が悪いというのも、大きな間違いです。ここでは詳しく述べませんが、また機会を見てそんなことも書くかもしれません。
パラベンフリーは防腐剤フリーではない
あと注意していただきたいのが「パラベンフリー」=防腐剤フリーではありません。パラベンの代わりに、防腐剤としてフェノキシエタノールが入っています。防腐剤は必要な成分であり、逆に防腐剤が入っていない化粧品はとても危険といえます。パラベンが悪者になっていますが、実際パラベンは食品にも使われている、とても安全な成分と認識されています。パランの問題は、まだ私が現役のときに一部で騒がれていた事柄です。またその辺りの詳しい話も、わかりやすく書けたらと思います。
シズカゲルとシミトリー、ホントの所、効果はあるのか
かなり引っ張りましたが、長くなったので簡潔に書きたいと思います。
オールインワン、乾燥肌の人は無理
たったの1週間程度ですが、実際にシズカゲルを使ってみました。まずは使用感ですが、とても好きでした。オールインワンということで、化粧水・美容液・乳液・クリームは不要。これ1本で済ますことができます。
しかし乾燥肌の人は要注意です。私はかなりの乾燥肌ですが、シズカゲル1本だけでは肌が乾燥してシワが目立たなくなるどころか、逆に増えてしまい老け顔になりました(笑)。
オールインワン、乾燥肌の人は追加で化粧水やクリームは必要
そのときは慌ててクリームを追加しました。それでなんとかうるおいが戻りました。その後はシズカゲルの前には必ず化粧水を使うようになりました。化粧水があると、かなり違います。もしもそれで足りないと感じた時は適宜乳液やクリームを補うと良いでしょう。
シズカゲルはジェルで、伸びが良くスルスルと肌の上を滑り、指の腹でマッサージをしながら時間をかけて肌になじませるタイプのものです。オールインワンは手間がかからないからという理由で、シズカゲルを使うと期待外れになると思うので注意しましょう。
シズカゲルは手間をかけないと効果がわからないかも
シズカゲルは手間がかかります。マッサージしながら肌になじませるのが正しい使い方。そうすることで肌の血行をよくし、くすみ改善にも効果が期待できると思います。逆に考えると、このような手間をかけるのが嫌な人には、シズカゲルはお勧めしません。
私は使い初め、面倒だなと思ったのですが、感触が気持ちよくだんだんと癖になってきました。たっぷりと手のひらに取り、マッサージ。余ったジェルで首~デコルテもマッサージすると、より良いです。首は顔以上に老化が現れます。いい加減にケアしていると、お化粧でうまく若見せできても首で実年齢がばれてしまいます。
シズカゲルを使いながら正しく保湿ケアもできていたら、1週間もたたないうちに肌のうるおい感がアップすると思います。マッサージする分、普段よりも血行を促すからかもしれません。
シズカゲルの美白効果は取りたてて優れているとは思わない
美白効果は難しいです。アルブチン配合の美白化粧品は目新しいものではなく、これまでのアルブチン配合の美白製品とあまり変わらないと思います。フランスカイガンショウ樹皮エキス(フラバンジェノール®)との相乗効果も期待できればよいのですが、私はあまり支持できません。
それよりは食事に抗酸化作用のある食材を積極的に取り入れたり、日焼け防止対策や保湿をしっかりして、肌のコンディションを整えることをおすすめします。
なぜなら肌は自分で綺麗になろうとする力を持っているので、肌のコンディションを整えることで、正常なメラニン色素の排出(ターンオーバー)を促すだけでも、かなり違ってくると思うからです。
前に「どの美白化粧品を使っても、思ったようにシミが薄くならないと思う人が多く、その理由は後程」と書いたのはこのことです。
食事や休息や運動は本当に大事です。女性はホルモンバランスの乱れも即肌荒れの原因になります。私のように更年期に入ると、顕著にそれらがわかるようになりました。ご参考までに。