行橋市図書館の洋書レビュー。
私の住む行橋市にある図書館には、いろんな洋書があります。この洋書たちが、もっともっと市民の方に親しまれたらいいな~という思いで、行橋市図書館の洋書レビューを始めました。
でも日ごろから洋書絵本を読まなければ、英語にちょっと興味があってもなかなか洋書コーナーへ足が向かないものです。どんな洋書があるか、レベルはどうかなど、わからないことがあるかもしれない。
この洋書レビューが、少しでもどなたかのお役に立てれば幸いです。
もっと知りたい方は、ぜひ「英語絵本の会」にご参加ください。洋書絵本好きの会のメンバーさんたちが、いろんなことを教えてくれます。次回は3月26日 1時半からコスメイト行橋 2階 視聴覚室で行います。
一市民の声が取り上げられ、貸し出し可能になった洋書絵本
今日ご紹介したいのは、最近まで貸出禁止になっていたコルデコット絵本です。まずコルデコットから説明したほうがいいかもしれませんね。
ランドルフ・コルデコットの絵本
優れた絵本に贈られる「コルデコット賞」というのがあります。この「コルデコット」とは人の名前です。1800年代に活躍した「ランドルフ・コルデコット」。
イギリスのイラストレーターで、イギリスの伝承童謡を絵本にした作品が有名。16冊の子ども向けコルデコット絵本は、彼の代表作です。
ざっと、めちゃくちゃ大雑把な説明ですみません。あとがかなり長くなりそうなので・・・
今でも「コルデコット賞」という形でその名を残すことになった、ランドルフ・コルデコットの絵本が行橋市図書館にあります。
最近まで貸出禁止だったのですが、つい最近、貸出OKになったのです!市民の声にすばやく対応。その速さに感動です。
それでもうさっそく借りて来ましてね。でもね、もしも、もしもだよ~? 他の人も「読みたいねん」となった場合に、16冊のうちのほとんどが借りられていたら残念でしょ。だから4冊だけ借りました。
今日はその4冊を一気にご紹介します。
Hey Diddle Diddle and Baby Bunting
まず1冊目。
タイトルは『Hey Diddle Diddle and Baby Bunting』。邦題『ヘイ・ディドル・ディドル/ベイビー・バンティング』。英語をそのままカタカナにしているだけですね(笑) こういう風に英語をカタカナにしただけのタイトルのものは、日本語にし難い英語だったり、日本語に無理やり変換すると雰囲気が壊れてしまうものなのだと思います。
YL 1.5
総語数 52
上の表紙画像はKindle版です。Hey Diddle DiddleとBaby Buntingの2話が収載されています。
一話目は脈絡なく、奇想天外な描写に驚くばかり。この詩はマザーグースのうたでも有名ですね。そして二話目は、赤ちゃんのおくるみのために狩りに出かけるお父さん。buntingとは、赤ちゃんのおくるみのことです。ラストの挿絵にぞっとしてしまうのは私だけでしょうか。
ラストの挿絵は、実際に絵本を開いて見てくださいね。そのラストのページは、後から描き足したというエピソードを目にしました。そだが解説書の中でだったか、ネット検索でだったかは忘れてしまいました。解説書は図書館にあり、貸し出し可能です。
そのラストの絵はセリフも何もない、ただ絵だけなのですが、そこからすごく伝わってくるものを感じました。私が好きなモーリスセンダック(著作『Where the Wild Things Are』、邦題『かいじゅうたちのいるところ』が有名)も、この絵を見て、コメントしているという記事を見たことがあります。
The Mad Dog
2冊目は『The Mad Dog』、邦題『狂った犬の死に捧げる唄』。これまたすごいタイトルです。(苦笑)
YL 3.5
総語数 197
表紙画像がAmazonにないので、下リンクをクリックして見てください。結構衝撃です。キテますよ。
「コルデコットの絵本」のサイトより拝借。
男性は、犬と仲良く暮らしていたのにある日突然犬が狂いだし、飼い主の男性を噛んだのです。街ではあんなにいい人を噛むなんて、と噂されます。傷は深く、もう命がもたないのではとささやかれ始めます。
ところが奇跡的に男性は回復し、犬が死んでしまうというストーリー。死んだ犬の様子がリアルすぎてドキッとします。表紙には、死んで運ばれている絵が描かれています。
なんという子ども向け絵本。でもそういうドキっとすることがあるから、止められないのかもしれません。
Sing a Song for Sixpence
3冊目のタイトルは、『Sing a Song for Sixpence』、邦題『6ペンスのうたをうたおう』。
YL 2.0
総語数 82
これもマザーグースのうたによく出てきますね。
この画像もAmazonからですが、洋書で原画と同じものがなかったので、日本語のものを掲載しています。外国の絵本によく出てくるBlackbirdの和名はクロウタドリ。カラスとは違うのですね。クロウタドリをパイに入れるという時点で「何コレ」となります(笑)。
脈絡がつかめないけれど、なぜか見入ってしまいます。クロウタドリが洗濯物を干すメイドさんの鼻をもぎ取ります。最後のJenny Wren(ミソサザイ)という別の鳥が、もぎ取られた鼻をつけてくれたというページは後で付け加えられたそうです。
不思議なストーリーです。
A Frog he would a-wooing go
4冊目のタイトルは、『A Frog he would a-wooing go』、邦題『かえるくん恋をさがしに』。
YL 3.5
総語数 420
これ↑はドイツ語版です。Amazonに英語版で表紙が同じものが見つからないので、こちらを載せました。青年?のカエルが母親が止めるのも聞かず、外へ出かけます。途中ラットに出会い、一緒に歩きます。そしてマウスの家に行き、歓談を楽しみます。
ネコの親子が彼らに忍び寄っていたことも知らずに。
それから後は読んでのお楽しみ。きれいな絵にふさわしくないようなえげつない文章は、コルデコット絵本の魅力であると思っています。
ラストがね・・・笑えないというかね・・・書きたいけど、読むまでのお楽しみですね(イヒヒ)こんな古い絵本だから、ネタバレで立腹する人はいないと思うのですが、一応お約束ということで。
まだ読んでレビュー書いていないコルデコット絵本もあるので、近いうちに・・・。