鼻高々で見せびらかすと、こうなるらしい

行橋市図書館の洋書レビュー。

しばらくぶりのコルデコット絵本の紹介です。

『Ride A-Cock Horse to Banbury & A Farmer Went Trottin Upon His Grey Mare』

まずは1冊目、洋書タイトルは『Ride A-Cock Horse to Banbury & A Farmer Went Trottin Upon His Grey Mare』、邦題『棒馬にのってバンベリクロスへ/農夫は灰色の雌馬で出かけて行った』。

YL1.0
総語数120

マザーグース2編を収載。
まず一つ目のお話は『Ride A-Cock Horse to Banbury』(『棒馬にのってバンベリクロスへ』)。
きれいな女の人を見に、子どもがお馬さんに乗ってバンベリ・クロスへ行くというお話です。

もう一つのお話は『A Farmer Went Trottin Upon His Grey Mare』(『農夫は灰色の雌馬で出かけて行った』)。
農夫が自慢の娘をグレーの雌馬に乗せて出かける話。途中、いじわるなカラスに出会い、馬は膝を痛めて農夫は頭を怪我します。カラスは「また明日も同じことするからな」と言い残し、飛び去ります。
とぼとぼと馬を引き、娘と家に帰る姿は、どことなく天狗になった鼻をへし折られて気落ちした感じに見えました。道行く人も「いい気味ね、あのオヤジ」とでもささやいているように見えなくもない挿絵でした。

こういうストーリー、昔はよくありますね。自慢して見せびらかしているとこうなりますよ、という類の。コルデコットの描く人物の表情が非常に細かく豊かで、文章以外のところから伝わってくることがたくさんあります。

『The Queen of Hearts』

2冊目、洋書タイトルは『The Queen of Hearts』、邦題『ハートのクイーン』。

アマゾンで見つけられなかったので、コルデコットの絵本というサイトから拝借。
link 『The Queen of Hearts』表紙

YL0.7
総語数73

ハートのクイーンがおいしそうなタルトを作ります。目を離したすきに、ジャックがタルトを盗み隠します。
キングがタルトを持ってくるようにいうと、タルトがなくなっていることが明らかになり、どこへ行ったのか探るうちにジャックの盗みがばれてしまいます。

楽しそうに踊ったりしているシーンのカーテンの裏で、ジャックがキングに鞭打たれている様子がチラ見えしていて痛々しいです。陰と陽というか、対照的な出来事が一つの同じ挿絵の中に、同時に描かれているのは恐ろしくもあり、新鮮な刺激がありました。

『The Three Jovial Huntsmen』

3冊目、洋書タイトルは『The Three Jovial Huntsmen』、邦題『3人の陽気な狩人』。

アマゾンで見つけられなかったので、またまたコルデコットの絵本から拝借。
link 『The Three Jovial Huntsmen』表紙

YL2.5
総語数420

3人の狩人が馬にまたがり、狩に出かけます。3人はさまざまな物を見つけてはおもしろいやり取りを続けます。文章と絵のページに挟まれるように、色のない線で描いたイラストが見開きページにあります。そのイラストもまたストーリーがあって面白いです。イラストの細かい部分までよく見て、ストーリーを膨らませることも可能です。

英語は繰り返し同じ表現が出てきますが、見慣れぬ表現なため少し読みにくいです。それでも絵を見つつ、雰囲気を楽しめればいいのではないかと思います。