行橋市図書館の洋書レビュー。
飽きもせず今日もコルデコット絵本ネタです。今回のは、たまたますごいのばかりを選んでしまいまして。順に紹介します。
The Great Panjandrum Himself
まずは1冊目、『The Great Panjandrum Himself』。邦題『おえらいパンジャンドラム そのお方』
アマゾンで見つけられなかったので、コルデコットの絵本というサイトから拝借。
『The Great Panjandrum Himself』表紙
YL1.0
総語数113
ナンセンスな詩に、コルデコットの想像力で絵を付けた絵本。前後の文章に関連性はなく、ストーリーの流れとか、そんなものは一切ありません。例えばですよ、こんなのよ。
そのとき、大きな雌グマが通りをこちらへやってきて、お店に顔をひょいと突っ込んで。
これは貴婦人のような装いの雌グマが、通りを歩いている絵と、次ページにはそのクマがお店の扉から顔を突っ込んで中を見ている絵のところに書いている文章。
この後、このように続きます。
なに? 石けんが品切れなんですって?じゃあ 彼は死にました…
ここは女性が店員さんに石鹸をくださいと言ったけれど、お店の石鹸が品切れになっている絵。そして次のページには男が・・・死んでる!
解説を見たら、イラストはピエロの人形か何かかも?と書いていました。石鹸がなくて、もう洗えないから用済みなのか、と想像できると書いていました。
” ”内の文章は、http://www.umi-neko.com/umi-neko/english/caldecott.htmより引用させていただきました。
こんな風に、はちゃめちゃな文章です。
絵を見て、自分なりに解釈するという感じの絵本かな・・・。そういう類の絵本に慣れていなければ、きっとわけのわからないつまらない絵本と感じるかもしれません。
洋書多読の真髄をつかんで、わからなくてもいい加減に読むスタイルが確立されていれば、読むことにさほど苦痛を感じないでしょう。絵を注意深くみるのも面白いですし、この類の本はいっそのこと解説書も読んでみるといいかも。私はこの絵本を返却する際に、図書館でパラッと読んできました。すると「ふ~んそう見るのか~」という発見がありました。
『The Milkmaid』
2冊目は『The Milkmaid』、邦題『乳搾りの娘』です。こちらもアマゾンに画像がなくて、同じようにコルデコットの絵本というサイトから借用。
『The Milkmaid』表紙
YL0.6
総語数170
貧乏な地主の息子が、母親からお嫁さんは持参金を持っている娘にしなさいと言われ、そんな娘を探しに出かけます。きれいな娘に声をかけ、結婚の話を切り出します。この早い展開にも驚きますが、持参金は私の顔よと言われた瞬間に、結婚は無理と態度を翻す男に絶句。
娘も負けじと誰も結婚なんて頼んでいませんよといい、女友達と共に地主の息子を牛にまたがらせて面白がる絵は気持ちがいい。犬のイラストも見逃せない。
元はもっとお下品な感じの文章だったらしいです。ずいぶん内容を変えて、お子様にも読んでもらえる絵本になったようですね。
ちなみに最初のページ、母親から息子への持参金目当ての花嫁探しの部分は、コルデコットの創作だそうです。その部分は手書き文字になっていて、原作につけたしたとわかるようにしているみたいです。