2016年3月7日(月)、行橋市議会を傍聴してきました。生まれてはじめての経験で、緊張して出かけて行きました。
これからの図書館
私が傍聴したのは、平成28年3月定例会本会議2日目の横溝千賀子議員による「子ども福祉行政」と「図書行政」に関する一般質問。もともと行政とか政治的なことは、どちらかと言えば疎いほうでしたが、ある方から市議会の傍聴へ行くといいよとアドバイスをいただき、行ってみることにしたのです。行橋市の図書館が新しく建設される予定があるので無関心ではいられないと思い、傍聴へ行きました。
行橋市の新図書館構想
行橋市図書館は今、大きく変化しようとしています。1つは図書館の移転。大きな出来事ですよね。図書館が丸ごと移動するのですから。移転先は旧ミラモーレ跡地で、もうすでに決まっているようです。
身近に私が聞く声は、旧ミラモーレ跡地という場所に対する不満や不安。あそこら辺って、道が狭いのですよね。ぽこすけの保育園へお迎えに行った帰り道、毎日旧ミラモーレ跡地の前を車で走っています。不安を感じている人の気持ちは、道が狭すぎるということではないでしょうか。
図書館が旧ミラモーレ跡地に移転するにあたり、その周りの整備もされるようです。具体的な計画を聞いたわけではありませんが、あそこに図書館ができる以上、今のままではダメだということは誰でもわかります。あの場所に図書館を移転する目的は、近隣の商店街や県指定文化財の「赤レンガ館(旧百三十銀行)」などの歴史資源が残る地区の活性化。駅前とまではいかないけれど、駅からさほど遠くない場所にコンパクトな街づくりを目指しているとのこと。いったいあの辺りの景観がどのように変わっていくのかという情報も、早く知りたいところ。
今年4月から移転までの変化
4月から市(教育委員会)直営で、窓口だけ民間委託になるそうです。どうしてそのようにしたかという理由を、市議会の一般質問の中で聞きました。その理由とは、市の運営にすることにより、図書館移転までのことをスムーズに運ぶためだそうです。市の直営であれば、図書館の移転に関わる諸々のことを決めたり話を進めることは、民間に完全に委託するよりも当然スムーズだと、私も思います。では図書館移転後はどうなるのか?どこが運営するのかは、明らかにはされませんでした。未定であるのかもしれません。
一市民の関心事として、今ある図書館のサービスは今後どうなっていくのかです。たとえば1つ例をあげると、現在は「ゆっくん」という移動図書館(車)が市内32箇所を隔週で巡回しています。図書館へ行くのと同じように本を借りたり返したりできます。このゆっくんのような移動図書館サービスはどうなるのか?巡回頻度は? 行橋市には図書館が1箇所しかなく、今後も分館を作る予定もないみたいなので、維持して欲しいサービスです。
新図書館のコンセプトは?
新図書館のコンセプトは、もっとも大事なことの1つです。行橋市はどのように考えているのか、興味がありました。市議会で聞くことができたので、まとめてみます。私が傍聴で聞き取れたのは以下の事柄です。
○ 効率、効用を高める(ハイグレードな設備)
○ 市民の知的欲求を満たす(質の高い選書)
○ 市民とともに日々成長する有機体をめざす
○ 知の拠点となる
○ 親と子がともに利用できるエリア
○ 学校やボランティアと今以上に連携する(読み聞かせに力を入れる)
○ 教育レベルの底上げを図る
上記は教育長や市長の言葉ひとつひとつを拾ったものですので、これらをまとめていうとこうなると思います。
ハード面では知の拠点となるように、効率効用も高める。ソフト面では幅広い市民が集え、ボランティアも活発に活動する場を作る。市民とともに日々成長する有機体をめざす。これらハード面・ソフト面の充実により、教育レベルの底上げも図る。
すばらしいと思います。けれども大事なのは、このような図書館を作るために、具体的には何をどうするかですね。私は特に、「市民とともに日々成長する有機体」という言葉がいいと思いました。けれどもこの言葉はすばらしく心地よい響きを持ちながら、実はとてもやっかいな言葉でもあると、私は思います。
「市民ともに」「成長」し続けるためには、図書館側と市民の強固なパイプが必要です。両者の間には日々、情報交換がなされなければ実現することはないでしょう。私はこの言葉を聞いて一瞬心が躍りましたが、次の瞬間、そのパイプは今現在ないということに大きな不安を感じました。しかし私は常に市に対して何かが足りないと不満を訴えることはしたくありません。これは市だけの問題ではなく、私達市民の問題でもあるからです。片方(市)が事を進めようとするのだから、もう片方(市民)も事を進めるために何かしなくてはいけないのではないか。目に見えて存在しない「聞いた声」だけの訴えに対して、市はいったいどれだけ耳を傾けようとするだろうかと思います。このことは、私達市民ひとりひとりの問題でもあるのですね・・・。
市民参加は?
以上のことから、私は「市民参加型の図書館」をと望むのであれば、自分達で今できることはなんだろうかと考える必要があるのではないかと、今感じています。いきなりすごいことができるわけはないのです。私達は日々の暮らしでいっぱいいっぱいなのですから。無関心を装うことは簡単です。忙しいからかかわりたくない、意見の違う人と議論したくないなど、いろいろあると思います。でも、何かないかな~と思います。自分にもできる小さなこと。
市議会の中で、図書館の実施に際して要求されるサービス水準について、学校と公立図書館との連携や協力について、運営のノウハウや創意工夫、アイデアなどの、今まで以上のサービスを提供するために、「要求水準書」なるものを作成する(した?している?)ということを聞きました。それは市直営の図書館であっても、将来的に民間委託になっても必要なものという意味合いであると理解しました。
そういうもので図書館サービスを具体化していくことは、とても大事だと思います。けれどもその「要求水準書」の中に盛り込まれる内容は、誰の考えに基づくのかというところが気になります。ぜひこれに市民も巻き込むような形で取り組んでいただきたいと思います。私達が知らないところでいつの間にか出来上がっているというのはご勘弁を(笑)。切にそう思います。
新図書館構想を発信した際に、市はパブリックコメントを募集していました。それ自体は好ましいことだと思います。けれども市民の考えはいつも変わらず安定しているのではなく、日々学び成長しているものですから、パブリックコメントの受付を終了して、それでもう「市民の意向は十分聞きました」という風に思わないでいただきたいです。
図書館構想の重要な段階で、必ず市民を巻き込んだ意見交換の場を儲けて欲しいと思うのは間違いでしょうか。「こうなりました」と決定を知らされるだけになってしまうと、かなり残念です。