ナンセンスな詩を題材にした巨匠の作品

先日、中古で絵本を買いました。状態は「可」という評価だったので、ボロボロかもしれないと思っていましたが、私的にはほとんど痛みナシの状態で嬉しかったです

Higglety Pigglety Pop! Or There Must Be More to Life

買ったのは私の好きな絵本作家さん、モーリスセンダック(Maurice Sendak)の『Higglety Pigglety Pop! Or There Must Be More to Life』です。

洋書のタイトルは『Higglety Pigglety Pop! Or There Must Be More to Life』。センダックのとても繊細な絵に魅せられています。英語がまだあまり読めなかったとき、センダックの絵本を読んでもあまり面白いと思えませんでした。今読むと、とても面白い。英語を読めるだけではなく、マザーグースのわけのわからない詩もたくさん読んでいるので、面白さがわかるのかもしれません。センダックの絵本の中には、この本はもちろん、マザーグースを使ったものが多いのです。

動画があったので、観てみました。多分これは絵本を読んだことがないと、面白くないかも。英語字幕をオンにしてみたら、音声とは全然違う英語字幕が出てくるので要注意です。

あらすじと動画

犬のJennieはある家で大切な家族の一員として、何不自由ない生活をしていたのです。ところがJennieはその生活を捨て一人、外の世界へと旅立ちます。今までは食事も寝るところも用意されていたのですが、そんなもの、待っていても出てきません。それでもJennieは家に戻ろうとしないのです。何不自由ない生活に浸るよりも、「外にはもっといいことがある」。そう信じて二度と戻らない決意をして家を出たのです。

絵本の中は、とても不思議な世界が繰り広げられます。子守りに応募するJennie。赤ちゃんはずっと食べ物を拒絶しているというのです。その赤ちゃんに、ご飯を食べさせられたら採用。失敗したら、地下に住むライオンに食われるのだそう。
Jennie以前の応募者は、全て姿を消したという・・・一度しか機会を与えられないというのですから、失敗は許されません。

さて、Jennie、どうなるのでしょうか。結末は、意外や意外、読者の予想を見事に裏切ります。最後にJennieが元飼い主にあてた手紙がまた、何ともいえない気持ちにさせられます。ぬくぬくと暮らすよりも、日々「生きている」と実感しながら暮らしたいと強く願えばこそでしょうね。今の私にはまだ本当の深みがわかりきれていないと感じつつも、すごいパワーは伝わってきました。やっぱり巨匠センダック。