行橋市図書館にある、洋書絵本のレビューです。先日、閉架の洋書絵本を、リストから3冊選んで借りたのですが、今日の記事は3冊目。前2冊、とてもとても良かったです。2冊とも買おうかな~と思うぐらい。多分、そのうち1冊はほぼ間違いなく買うと思います。
The Velveteen Rabbit ビロードのうさぎ
洋書のタイトルは『The Velveteen Rabbit』。邦題『ビロードのうさぎ』。
YL 2.8
総語数 3,800
上の洋書絵本画像はKindle洋書です。オリジナルのイラストではないようです。イラストは複数人の人が書いていてます。そのうちの1つが図書館にあるもので、上の画像と同じイラストレーターさんです。
表紙のイラスト、良い雰囲気を醸し出しています。私好みの絵のタッチ。しかもうさぎ。でもここまで好みに合致してしまうと、逆に期待を裏切られやしないかと、疑心暗鬼になるのが私の悪い癖。「ふ~ん、どれどれ」てな感じでスタート。結構な語数あります。まとまった時間が取れなくて、3回ぐらいに分けて読みました。
3回目、号泣。
この時もいつものように一人で朗読していたのですが、泣きながら読んでいました。流れる涙もそのままに、文字が涙で霞んで見えないので、ティッシュ取りに席を立ち、涙を拭いて、ついでに鼻もかみ、最後まで読みました。
ストーリーはね、うさぎのぬいぐるみが男の子のお気に入りになって、いつも一緒にいるのです。うさぎさんはとても幸せ。いつかぬいぐるみではなく、Realになりたいと願うのです。そして男の子にRealと言われ、うさぎはRealになったと感じるのです。
ところが本物のうさぎがやってきて、目の前でぴょんぴょん飛び跳ねる。自分には、あのうさぎたちのような、大きな後ろ足がない・・・動けない。ある日、男の子は病気になります。高熱が出て苦しそうです。「しょう紅熱」です。医療系学生時代、教科書では見たことのある病名。でもあまりこの病名、聞かないな。ググってみると、溶連菌感染症。それなら良く聞く。子どもがよくなるやつです。うちのぽこすけもなりました。
でもこの絵本に書かれている時代はずっと昔の話。昔は抗生物質がなく、伝染病に指定されていたのです。そしてお医者さんの勧めで、当然以下のようになるのです。
"The room was to be disinfected, and all the books and toys that the Boy had played with in the bed must be burnt."
disinfectは消毒するっていう意味です。男の子が快方に向かった時、お医者さんの指示で、男の子が病床にあるときに使っていたおもちゃや本を全部焼き捨てることになりました。当時伝染病でしたからね。病原菌除去のためです。
「えっ!」となった私。その後、男の子が大事にしていたうさぎのぬいぐるみが袋に入れられて、庭に置かれて朝、焼かれるのを待っている間、私は大泣き。うさぎも泣きました。うさぎの涙が地面に落ちたとき、不思議なことが起きるのです。
Real・・・。うさぎは今まで男の子にとってだけ、Realだったのです。でも誰に対してもRealになれるおもちゃは、持ち主にとても愛され、大切にされたものだけ。
一方このころ、男の子の様子は・・・私にはちょっとショックなんですよ。全快のために、海へ連れて行ってもらえると知り、ウッキウキで、あんなに大切にしていたうさぎちゃんのこと、すっかり忘れちゃったみたいで。新しいうさぎのぬいぐるみを与えられても、それどころじゃないぐらいにウッキウキ。まぁいっか・・・男の子の気持ちがまぎれるなら(泣)。
最後のページは、心がホッと温まると同時に、ちょっぴり切ない気持ちになるのは、私だけでしょうか。うさぎはもちろんのこと、男の子もまた、ずっと記憶に残る思い出になっていたようです。いい絵本です。