命の物語 その1

私が行橋市に来て2年と9か月になります。行橋市には知り合いもいないし、会社勤めではなく自宅で孤独に仕事をする生活なため、友だちができるか不安でした。引っ込み思案で非社交的な性格もあるし。けれども私なりに、無理をせずに付き合える人と交流を深めるために、何をしたらいいかを考えました。そして思いついた「英語絵本の会」。

そのご縁で、いろんな素敵な方と知り合うことができました。行橋市には、とても魅力のあるパワーのある、楽しくて優しい人がたくさんいることがわかりました。とても嬉しいです。私は今、行橋が大好きです。行橋に来てから交流するようになった方の中のお一人で、いつも大変お世話になっている、行橋市図書館の副館長さんから、とてもいい本をご紹介いただきました。図書館所蔵の本なので、借りて帰りました。

2冊ありますが、なんとなんと。2冊とも泣いた~~~。著者はこれまた行橋市の助産師さん。今日はその2冊を簡単ですが、ご紹介します。

『お母さんは命がけであなたを産みました』

今お母さんがいない人、お母さんの顔を知らない人も、みーんなお母さんから生まれてきたのです。私は小さい頃母を亡くしているので、お母さんに対する思いは、成長期に両親と暮らすことができた人と少し違います。それでもしっかりと心に響く内容でした。

あまりにも心が傷ついている、真っ只中の人が読むと、ちょっと切なくなる部分もあるかもしれません。読みながら、私が子どもの頃読むと、今とはまた違った印象を受けるだろうなと思いました。それでも読むことをお勧めします。

世の中には、いろんなお母さんがいると思います。子どもに対して、わかるようにきちんと愛情表現してくれるお母さん。表現はしないけれど、心の中では深い愛情を持っているお母さん。子どもに対して愛情が持てないお母さん。そしてそんな自分を責めて苦しんでいるお母さん。子どもには全く興味のないお母さん。

でも、赤ちゃんを産むという行為は、自分の命の危険を冒して産んでいるのだという事実。出産は、経験しない人もいるけれど、多くの女性が経験すると思うのです。赤ちゃんを産むっていうことが、なんら危険なことではないと錯覚するほど、あちこちで目にすることだから、つい鈍感になってしまいがち。でもお母さんは命がけで産むのです。これは紛れもない真実。

産んでくれたから経験できる素晴らしいこと

そこまでしてもらって生まれてきた命。それだけですごいことですね。お母さんに対して、憎悪しか持てなかったとしても、その行為自体は感謝に値するはずです。産むという行為だけがすごいことではないです。生まれようとする赤ちゃんも、無事生まれるまで成長し、そして無事に生まれてきたのです。だからもう人生がつまらなくなったり、人が信じられなくなったり、自分が嫌になったりしたときも、ふと思い出すといいかもしれません。自分は一人で生まれてきたのではないと。生まれるまでに、すでに様々な困難を乗り越えてきたのだと。今命があることが奇跡と言うに値することであるのだと。

今はネガティブな感情しか持てないとしても、生まれてこなかったら、そういう苦しみを知ることもなかった。知らなかったらよかった?ううん、違うんだよ。そのネガティブな感情は、いずれ大きな優しさに変わっていくんだよ。ネガティブな感情を学んで、それを克服したら、おーきな器を手に入れられるんだ。とっても辛い時に歯を食いしばって、不格好でもいいから前を向こうとかんばって生きられた人が、手に入れることができる器。私がちょうどその途中にいるからわかるよ。

実はこの本のテーマは深くて、1冊ではおさまりきれないほどの思いが、きっと著者にはおありだったと思います。読み手もまた、同じような気持ちになるかも。読み手はいろんなことを思い出しながら読むうちに、本を飛び出してもっと深くて広い心の中を散歩するかもしれません。

あまりにも長くなってしまったので、もう1冊は次回にします。次も命のお話です。