完成に近づくにつれ、ダンナちゃんのお仕事が忙しくなり、前回からかなり時間が経ってしまいました。1月10日と11日、それぞれ半日、行橋市にある「ものづくり工房」で作業をしてきました。
前回はほぞ組みをして、天板の反り対策のために蟻桟(ありさん)よりも簡単なビス止めをすることに決めました。ビスの止め方をどうするか。家具職人さんのアドバイスのもと、天板と脚部分の間に3本の桟を通し、その桟と天板をビスで止めることにしました。
ビス止めは最後に行うので、今回は木材にオイルを塗りました。やすりがけ前後の木材の手触りの変化と、オイルを吸った木材の色の変化が劇的で感動しました。
オイル塗布前に下地調整をする
オイル塗布前には、木材の下地調整が必要です。下地調整の目的は、1.塗装面の汚れを除去することと、2.木材の表面を滑らかにすることで塗料の「ノリ」を良くすることと、3.木材と塗料の密着度を高めて塗装がはがれにくくすることです。
下地調整にサンドペーパー(紙やすり) サンダーを使用
下地処理にはサンドペーパーを使いました。手でやすりがけをしていたら何日もかかるので、ものづくり工房さんで「サンダー」を借りました。サンダーはこの日、写真にある2種類を使いました。1つは大きくて丸い面のサンダー(写真 青の機械)。もう1つは四角い面で小さいサンダー(写真 赤の機械)です。
まずは粗い#120のサンドペーパーをサンダーにセットして、木材の表面を綺麗にしました。
私も・・・サンダー初体験^^
お次は少し目の細かい#320のサンドペーパーを再びサンダーにセットして仕上げにかかります。サンダーにかからないような木の接合部付近は、手で丁寧にやすりがけしました。オイルを塗る前には、木材についている細かい木くずを風(ブロアー)でとばしました。
ぽこすけもお手伝い。ぽこすけが手にしているのは、木のくずをとばすためのブロアー。強い風が出てきます。この写真だとよくわかりませんね(笑)
天板は大きいので、大きいほうのサンダーを使ってダンナちゃんが仕上げてくれました。
サンドペーパーの選び方
サンドペーパーには目の粗いものから細かいものまであって、「番手」といって「#番号」で目の細かさを表します。今作っているデスクの木材は、綺麗にカンナがけをした後で、滑らかなので中目の#120から始めました。それで一通り木材の表面にやすりをかけたら、仕上げに細目の#320で仕上げました。オイルを一度塗り、二度塗りする前には、ケバ取り目的で場所により#400のサンドペーパーを使いました。
DIY工具紹介部というサイトで、サンドペーパーの種類(番手)と用途についてわかりやすくまとめられていますので、参考までにリンクしておきます。サンドペーパーの用途にあった#番手
オイルを塗る
サンドペーパーの工程(塗装面の調整)が結構大変でした><; せっかくオイルを塗るのだから、最大限に木の美しさを出すために塗装面をきれいにしておかなくてはなりません。念入りにチェックして、やっとダンナちゃんのGOサインが出ました!
まずは1回目のオイル塗布
いよいよダンナちゃんが天板にオイルを塗ります! まずは天板から。
オイルをさーっと塗ったところから色が変わりました。木目がはっきり見えてきました。
オイル塗布1回目、完成~~! 美しい。
天板の表だけ塗り終わり、乾燥させる間にデスクの脚と桟を塗り始めました。私ももちろん一緒に塗りました。とても楽しかったです。始めはどれぐらい塗ったらよいかわからなかったのですが、一定時間乾燥させた後にふき取りの作業があるので、たっぷり目に塗りました。塗り残しのないように注意しました。
上の写真をよく見ると、ダンナちゃん、携帯持って塗っています。こんなときにも仕事の電話がかかってきて、仕事の話をしたり、それが終わったかと思ったら仕事のメールをしたり。お~い、ちゃんと塗ってくださいよ~(笑)
デスクの脚と桟が塗り終わりました。う~ん綺麗・・・。しばし見とれていましたが、ゆっくりはしていられません。次はさっき塗った天板を拭き取りします。
1回目オイル塗布後の拭き取り
天板は20分ほど置くと、ある程度オイルが木材にしみ込んで、表面はそこそこ乾いていました。塗装面上に残っているオイルを、ウエスで拭き取りしました。ウエスは家にあった古くなった服。綿100%です。拭き取りはダンナちゃん任せ。
天板の拭き取りが終わると、次は天板の裏側にオイルを塗りました。だんだん慣れてきて、表側を塗ったときよりも手際がよかったです。これも20分ほど乾かします。その待ち時間に脚と桟の拭き取りです。脚と桟の拭き取りが終わるとまたまた天板裏の拭き取り。天板は裏表の1回目塗布が終わりました。
アルドボス 二度塗り
おなじ要領で天板と脚・桟のオイル塗布と拭き取りを繰り返し、2回ずつ塗りました。天板の裏だけは2回塗布できませんでした。次回までお預けです。説明書によると、1回目よりも2回目の塗布のほうがオイルが木材にしみ込む量は少なくなるそうです。購入時には、そのあたりのことを知った上でオイルの購入量を決めるといいですね。
また二度塗りのときには、拭き取り後に塗布面に素手で触れて、表面にざらつきがないか確認しました。必要に応じてサンドペーパー#400を使って滑らかにしました。
全部二度塗りが終わって(天板の裏以外)、天板を脚に乗せてみました!
お~。
ぽこすけもデスクの前に立ち、にっこり笑顔。
作業の終わりに・・・
塗料はアマニオイル主成分なので、引火に注意してくださいとの注意書きがありました。そこでオイルを拭き取ったウエスは、ダンナちゃんが水に浸して処分してくれました。それから塗布に使ったブラシは塗料用のうすめ液で洗いました。
うすめ液って何?と思って調べたら、有機溶剤。成分名はイソアリファーテとかミネラルスピリットです。ミネラルスピリットとは?と思ってまたググったら、「石油系溶剤の一種」。うーん、そうか。シンナーというやつかしら。
シンナーというと耳障りがよくないけど、ミネラルスピリットというと、なんか耳障りいい。これって、私が元いた業界、化粧品業界で、石油系オイルを「ミネラルオイル」っていうのと同じ感じがしました。ちなみに私は合成の化粧品原料肯定派なので、ミネラルオイルは好きです。どうでもよい情報ですが(笑)
木材をどんな塗料で仕上げるか オイル?ウレタン?
どんな塗装で仕上げるか考える際に、オイル仕上げ(オイルフィニッシュ)にするか、ウレタン塗装にするか考えました。いずれも一長一短ありますが、私達の希望(長く使えて愛着が持てる机)にかなうのは、ウレタンではなくオイルだということになりました。私達が使ったアルドボスという天然自然塗料の詳細を説明する前に、ウレタンとオイルの塗装について軽く触れたいと思います。
ウレタン仕上げとオイル仕上げの比較
ウレタン塗装はその名のとおり、木材をウレタンでコーティングするために表面がツルっとしています。水がついたコップなどを置いても、さっと拭けば大丈夫。これに対してオイル仕上げは表面はツルっとするものの、木そのものの肌触りも残っており、しっとり感のある手触り。塗れたコップを置こうものなら、輪染みができてしまいます。
ウレタン塗装だと、15年ぐらいはメンテナンス不要なのですが、それ以上の経年でウレタンが磨耗してくるそうです。こうなると自己メンテナンスは無理で、家具屋さんに再度ウレタン塗装を依頼しなければなりません。一旦古い塗装をすべてはがし、それからまた新しく塗料を塗る作業が必要です。これには時間と費用がかかります。
オイル仕上げは日常的に家でのメンテナンスが必要になります。けれどもメンテナンスはそれほど難しくなく、メンテナンス用のオイルで拭くだけ。傷や汚れはサンドペーパーでこすり、それからオイルを塗るだけです。少々の凹みがあっても、その部分に水を含ませてあげると元通りになるというのも嬉しいところ。
何よりも私が最もこだわったのは、人工的な色や艶をつけるよりもできるだけ元の木の風合いを楽しみたいということでした。メンテナンスをしながら机全体をながめることで、愛着もさらに湧いてきそうです。経年による色の変化もまた楽しみです。ウレタン塗装だと、経年による良い感じの自然な色の変化は見られないようです。ちなみに強度としては両者にはさほど差異はないようです。
家具屋で働く双子のブログというサイトで、オイルとウレタンの違いがわかりやすく書かれていたので、ここも参考にして決めました。「最適な仕上げを選ぶために知っておくべきオイルとウレタンの違い」(←リンク切れ)
どんなオイルを塗った?
私達が購入したオイルは、アルドボスとクノス。塗装の工程は、まずアルドボスを二度塗りし、その後でクノスを塗布します(クノスも二度塗り)。クノスは木の表面に薄い皮膜を作ることで耐久性、撥水性、耐汚染性を高めます。オイル仕上げではどうしても撥水性が弱くなるので、クノスも使うことにしたのです。写真のアルドボス、缶に文字が見えるでしょうか。左端のがアルドボス。その右側の小瓶二つがクノスです。その後ろにある箱は、メンテナンス用のオイルです。
今回は使用したアルドボスについて説明します。クノスとメンテナンス用のオイルは次回以降に説明します。
購入したオイルは、ドイツのリボスという塗料のメーカーのオイルです。他にもいろんなメーカーがあったのですが、比較的簡単に手に入り、取り扱いが簡単で、仕上がりが美しいものを・・・という視点で検討しました。使用するオイルを決めて購入するのは私の仕事でした。
大橋塗料株式会社のサイトで、アルドボスの詳細を見ることができます。アルドボス(室内用浸透性オイル)
アマゾンでも購入可能です。価格は上の大橋塗料株式会社と税込みで同じ価格です(2016年1月15日現在)。アマゾンも大橋塗料株式会社も送料がかかります。大橋塗料のほうは配達地域により送料が変わりますが、アマゾンのほうが送料を考えるといいのかも。でも大橋塗料株式会社は、1回の注文で50ccの瓶のオイルを2つまで無料でもらえるので、何をどれだけ必要かによりどこで購入すればいいか考えるといいですね。私達はクノスの2瓶、無料で入手しました。
↓こちらはアマゾンで販売しているリボス社のアルドボス
アルドボスの中身
アマニオイルを主成分にした浸透型の自然系塗料です。塗料には詳しくないのですが、オイルそのもの、たとえばアマニオイルそのものを塗ると、なかなか乾かないようです。そこで下記内容成分を加えることで、浸透性を高めて乾燥までの時間を短縮したり、ワックスを加えることで撥水性もいくらかアップさせているのではないかと思います。
内容成分
アマニオイル・アマニスタンドオイル天然樹脂エステル・オレンジピールオイル・イソアリファーテ・アマニウッドスタンドオイル・天然樹脂エステル・マイクロワックス・珪酸・無鉛乾燥剤
自分なりに調べてみた成分の役割・・・
イソアリファーテ:溶剤(成分を溶かす役割)
珪酸:耐火
無鉛乾燥剤:塗装時の乾燥促進
以上が「なんだこれ?」と思った成分です。残りの成分は天然系のオイルとワックス。
この日の作業を終えて・・・
ほぞ組み加工などと比べると、やすりがけやオイル塗布の工程は簡単でした。けれどもあれこれ気を使わなければならないのは同じ。いずれの工程も、いい加減にするといい加減なできになるのだなと感じました。塗料購入時に、説明書やMSDSが添付されていて、それを見るとやはりオイルなので引火に注意と書いていました。塗料を含ませた布を放置していると、自然に発火する恐れがあるので必ず水に浸すように注意書きがありました。
塗料というと、溶剤の臭いが気になっていましたが、工房が半屋外ということもあり、ほとんど気になりませんでした。製品自体もそれほど溶剤の臭いはしませんでした。
次回予告。2月頃、ダンナちゃんがお休み取れたら、また工房へ行きます。次は天板の裏2回目のアルドボス塗布、それからクノスの1回目塗布。2回目の塗布まで行くかどうかです。それが終わったら、いよいよ天板のビス止めで完成♪ 4月に間に合いそうです^^
番外編
ぽこすけは大人のように、作業に付きっ切りはまだ難しく、ものづくり工房の原さんがぽこすけに面白いおもちゃを使わせてくれました。