デッドエンドの思い出 よしもとばなな

デッドエンドの思い出

よしもとばななさんの短篇集。どの作品も「う~ん・・・」とうなるほど、自分では言い表せない、でも確かに感じたことのある感情が表現されている。

私が一番その気持ちを強く感じたのは2つ目の「おかあさーん!」でした。会社の食堂のカレーに毒が盛られていて、入院してしまう主人公の女性。体調がなかなか元に戻らないし、それよりも周りの騒ぎ具合や自分に対する態度に心を乱される。そして幼い頃の記憶も・・・。もう完全にこの主人公に同化しちゃって、泣きました。わかるんですよね、そういうのが・・・。

最後の「デッドエンドの思い出」も切なかったな。「あったかくなんかない」も・・・悲しすぎました。切なかったり悲しかったりだけど、どの小説もどこか救いようがあるのです。暖かい光が見えるというか、静かな落ち着きがあるというか。これでいいのかな・・・みたいなね。

それにしてもよしもとばななさんの表現力、すごいですね。私もあんなふうに表現してみたい。