その英語、ネイティブにはこう聞こえます
『その英語、ネイティブにはこう聞こえます』という本を図書館で予約していました。かなり待って、ようやく借りることができました。でもこれ、CD付きなんですけど、CD付いてなかったんですよ。
「(メ・ん・)?なんで?」と思って、表紙をよく見てみると、何やら貼り紙が。こう書いていました。「付属資料は出版社が禁じているので貸出できません。館内で視聴ご希望の方はカウンターでおたずねください。」
私はカウンターに行って視聴はせず、本だけ読みました。以下、中身を紹介します。
内容ですが、すごい勉強になるということもないのですが、パラパラと見ていると面白いです。著者はアメリカ生まれのアメリカ人。英語のネイティブです。この著者のまえがきに、こんなことが書かれていました。
↓要約しています↓
「日本で出版されている英会話の本に載っている会話文を、実際に旅先などで日本人が使うのですが、そのような表現はネイティブにとってはつっけんどん、場面によっては別の意味に受け取られることがあります。」
ちょっとこれ、すごくすごく重要なことですよ。おわかりですか?日本人が一生懸命英会話のテキストを勉強して、そして英語を覚えた暁に、海外へ出ていったときに話す英語がですよ?!ヘンだって言われてるんですよ。なんてこった。
適当に覚えた英会話ではなくて、日本の出版社から出ているちゃんとした英会話の本で勉強したのに、ですよ。
ちょっとそれってショックじゃない?
さっそく中を読んでみました。そしたらね、もう笑っちゃいましたよ^0^ 面白いですよ~。初めは興味本位でパラパラめくって見ていました。で、面白い部分にポストイット貼って、ブログネタにしようと思ったんです。
で、しばらく読んでいると、気がつきました。なぜネイティブがヘンだと感じるのか、その根源が。それを説明する前に、本の中味で特に面白かったものをちょこっとご紹介してみましょう。どうぞ自分のことは棚に上げて、私と一緒に笑ってください^-^
<<以下、上記著書からの抜粋です>>
こう言いたい→「こんにちは。調子はどうですか。」→ Hello. How are you?
こう聞こえる→「こんにちは。ごきげんいかがでござる。」
ネイティブはこう言う→ Hi! How are you doing?
こう言いたい→「どういたしまして。」→ You’re welcome.
こう聞こえる→「あたりまえですよ。」
ネイティブはこう言う→Sure, no problem.
こう言いたい→「だいじょうぶです。」→ It’s OK.
こう聞こえる→「もういいから!放っておいて。」
ネイティブはこう言う→ Don’t worry about it.
こう言いたい→「今、何時ですか?」→ What time is it now?
こう聞こえる→「ところで、今は何時なんだ?」
ネイティブはこう言う→ Do you have the time?
*What time is it now?と言うと、何度か時刻を聞いた後で、再び尋ねるときの聞き方。
こう言いたい→「日本語を話せる人はいますか?」→ Is there anyone who can speak Japanese?
こう聞こえる→「この世に日本語を話すことができる人はいるのでしょうか?」
ネイティブはこう言う→ Is there anyone here who can speak Japanese?
こう言いたい→「あなたの趣味は?」→ What are your hobbies?
こう聞こえる→「今、凝っているものは何ですか?」
ネイティブはこう言う →What do you do in your free time?
<<上記著書からの抜粋はここまで>>
いかがでしたか~?いろんな感想をお持ちかと思います。実際に英語環境に今いらっしゃるかたでも、この著者が書かれていることに共感もすれば、そうかな?と思う部分もあるのではないでしょうか。
言葉って難しいですね。というよりも、同じ言葉を発しても、そのときの状況や声のトーン、表情によっても、意味が変わります。
日本語だってそうです。
すごく丁寧な礼儀正しい言葉を、仲良しの友人や家族と言い争いしているときに発すると、すごく怒っていて、冷たく言い放つ印象を与えませんか?
外国語を学んでいる人が話す言葉を、ネイティブが聞いてヘンだと感じるその理由がわかった気がしました。
もしも外国語を、その外国語を実際に使う環境にいて、使いながら覚えるとしたら、ネイティブが聞いて「ヘン」と思うことがあまりないと思うのです。
でも例えば日本人が日本にいて英語を学んでいる場合。そして英語のテキストだけを熱心に勉強したとします。言葉って、さっき書きましたが、状況などによって同じ言葉でもニュアンスがだいぶ変わります。だから文字だけで、日本語と英語を対にして覚えること自体、実践的ではない、ということなんですね。
このアメリカ人の著者も、文字にして表現しなければならないので伝えきれていない部分がたっくさんあると思います。文章、特に短文や、1-2文の短い例文だけで説明しようとしてもできるものではありません。
それに日本とアメリカ、日本とイギリス、いずれにしても文化や習慣の違いから、ものの考え方や価値観が違います。そういう基本的な部分が違っているので、日本語を英語にしたいときに、日本語をそのまま直訳しても、まったく意味が通じないことがあります。
何か説明をしたいときでも、説明の仕方、考え方が基本的に日本と異なっていて驚くことだってあります。
これは別に日本語と英語に限らず、日本人同士だって、異なる環境で生きてきた人と接すると同じようなことを経験します。
このようなことを考えていると、やはりずっと私が英語の習得について説明してきたように、テキスト主体の勉強法だと、言葉が生きてこないということを再確認しました。
試しに日本語のテキストを見てみると、面白い発見があるかもしれませんね。テキストに載ってるこの文章、変な日本語だな。とか、んな言い方は普通しないよ~^^; なんてことを感じたら、同じことが英語のテキストでも起きてると考えるのが自然ですね。
~2016年11月追記~
この記事を書いておよそ5年が経ち、私もそれなりに英語学習を継続してきました。今ここで紹介した本からの抜粋を見ると、「あらまぁ」と思うことがあったので、追記することにしました。
「その英語、ネイティブはこう聞こえる」というところの表現ですが、多分これは誇張した表現で、ウケねらいですね。英語のネイティブが聞くと、ちょっと変な感じがするよということを伝えるために作った日本語文章のように思います。
このブログを読んでくださっている方は、そんなことわざわざ追記しなくてもわかっているという方も多いと思いますが、この記事を書いた以上、責任を感じてしまって。「こう聞こえる」というカギ括弧の中の日本語をそのまま鵜呑みにしないよう、お願いします。
たとえばWhat are your hobbies?は「今、凝っているものは何ですか?」という日本語になっていますが、これはhobbyという単語に対する日本人の理解が英語ネイティブとずれているためにそういう表現になっているということです。短文で作るために苦労された跡が伺われます。