古巣のことが書かれている本に出会ったので、思わず手に取りました。
P&Gで学んだ世界一やさしいビジネス英語
本のタイトルは『P&Gで学んだ世界一やさしいビジネス英語』。見つけましたね~。私もかつて在籍した会社P&Gですね。
面白そう、というか、何が書いてあるのかとても興味があり、読んでみました。読んでみて懐かしくなりました。本当に、私も同じようなことをこの会社で学びました。
まだこの会社で働いていた頃の、英語と格闘中の自分を思い出しました。そしてこの著者も、入社当時、英語の苦手意識が強く、相当苦労されたようです。
この本のメッセージは、「英語で仕事をする」ということは、その時点で英語力のあるなしは関係ない、です。英語を使って働きたいから英語の勉強をする。と考えがちですが、「英語で仕事をする」ことと「英語力」は異なることであり、その違いは別の言葉で表現すると、語学 対 ビジネススキル
なるほど。私も同感です。実感を持って。
P&Gのような多国籍企業となれば、そこで使われる英語はさぞかしレベルが高いと思われるでしょう。著者も書いていますが、そんなことはありません。確かに高度なコミュニケーションスキルは求められます。でも、使われる英語はいたってシンプルです。
なぜなら、いろんな国籍の人たちが集まっていますから、できるだけシンプルにわかりやすく事を伝えなくては非効率的だからです。
国籍が違うということは、言語が違うだけではなく、習慣・文化・価値観・物の考え方・常識が違うのですから、たとえば日本人同士のようなやり取りではうまくいかないことが多いのです。そこで著者は、英語で仕事をするのならば、目的は英語ではなく、仕事であるということを忘れてはいけない、と述べています。
相手に伝わればOK。英語の美しさなどは求められていない。だから間違いを気にしないで、要点を明確にし、やるべきことを成し遂げること。
英語で仕事をするためには、仕事をする相手に信頼されなくてはなりません。間違いを気にしていては、頼りない人と思われてしまいます。気にすべきは、仕事の内容です。
そして著者は、コミュニケーションスキルを磨くために、「聞く」、「話す」について、心がけたらいいと思われることをいくつか挙げています。
まず「聞く」ことについて。
1.わからないという
2.ついていけないときは話しを遮る・止める>
3.ゆっくり話してもらう
4.確認する
5.書いてもらう
次に「話す」ことについて。
1.要点をまとめる
2.短く言う
3.結論→理由の順に
4.ストレートな表現で
これらは私もP&Gにいて、教わった方法です。詳しくは本を読んでくださいね。
著者は、英語力があるから英語の仕事ができる、というのではなく、英語で仕事をするから、英語を使う機会が増えて、英語力がアップすると言います。英語力は後からついてくるものだ、と言います。
全くそうだと思いました。
英語で仕事をするに限らず、英語を習得したいのならば、英語をとにかく使うことです。いわゆる「お勉強」ばかりしていてもしかたありません。使ってこそ、使える英語が身につくし、面白いのです。その「面白い」と思える経験が、エネルギーとなり、どんどん英語を吸収していくのです。
著者は、P&G入社当時、英語が全然できなくて、周りの英語ができる人たちを見て、英語ができればもっと仕事ができるのに、と思ったそうです。
しかしその後、英語が不自由だからこそコミュニケーションスキルをぐんぐん上げることができたのだと気づきます。母語だと、話す内容に困ったときに、何となく何かを話すことは簡単です。だから目的が曖昧なまま、仕事を進めてしまったり、相手に意図がうまく伝わらなかったりするのです。>
そういうごまかしのきかない英語だったからこそ、著者はコミュニケーションスキルを磨きあげることに成功したのでしょう。
思えば私もそうでした。英語でレポートを書いたり、英語で説明したり。面倒で難しくて、時間がかかる。でもそれをやらなければ先に進まない。そうやって苦しんでいるうちに、私のコミュニケーション力も上がっていったのだと思います。
まだまだこの本の中から伝えたいことはありますが、ご興味があればぜひ手にとって読んでみてください。
貴重な経験に基づいた、とてもわかりやすい内容の本でした。