冠詞の持つ表現力

苅田町立図書館にある洋書のレビューです。易しい英語の絵本を楽しく読みながら、英語を伸ばしたいと考えている方に、活用していただけたらと思います。行橋市にお住いであれば、苅田町立図書館の本を借りることができます。詳しくは苅田町立図書館のカウンターでお問い合わせください。(注 アイキャッチ画像は、苅田町立図書館ではなくイメージ画像です。)

目次

Snow

洋書のタイトルは『Snow』。日本語のタイトルは『ゆき』です。空も屋根も街全体も灰色。灰色の空から雪が一つ降ってきました。全体にグレーがかった絵の中に、一粒の雪が描かれています。

「雪が降ってる」と子どもは言うのですが、おじいさんは「たった一粒じゃないか」と言います。雪が二粒降ってきます。子どもは「雪が降ってる」と言うのですが、男の人は「降ってない」と言います。

それから何粒かずつ降ってくるのですが、女の人は「溶けてしまうよ」と言います。大人もラジオもテレビも、大人の世界はこんなもん、雪が降ってるとは言わない、と言わんばかりの反応。

雪は落ちた場所で溶けていきます。けれども、雪は灰色の空からどんどん降ってきます。子どもは雪が嬉しくて、街を駆け回ります。本屋さんの看板に描かれているマザーグースのキャラクターたちも、子どもと一緒に街を駆け回ります。

どんどん雪が降ってきます。そして街中が真っ白に。

最後の一文で、私は初めて気が付きました。これが冠詞の成せる業かと。なるほど、と思いました。それでマザーグースのキャラも引き立つわけだ。どうぞご覧になって、その業を感じてみてください。コルデコット・オナー賞受賞作品です。

YL 0.5
総語数 155