心のクッションとは・・・

久々にこんなに泣ける洋書を読みました。

Say Goodnight, Gracie

洋書のタイトルは『Say Goodnight, Gracie』。

主人公は17歳の女の子Morgan。彼女のお母さんの親友にも同じ年のJimmyという息子がいます。家も近くで、生まれたときからずっと一緒。お互いのことを知り尽くした関係で、なくてはならない存在。そんな二人でしたが、あるとき突然の事故でJimmyはこの世を去ります。

この後、Morganの様子が、私自分の過去を顧みずにはいられないほど、酷似した部分がありました。同時にMorganの混乱、不安、恐怖が自分の過去と一体になって、よみがえりました。同じような気持ちのMorganに完全に同化して、大泣き;; いやもう、誰だって泣くでしょう。泣かずにはいられない~。

心が痛むけれど、Morganは精神科医の叔母さんの助けを借りながら、立ち直っていく姿は見ていて勇気づけられます。特に共感したのは、Jimmyの死後、Morganがお父さんと待ち合わせしていたときのこと。お父さんが車で迎えに来るはずなのに、なかなか現れない。MorganはJimmyが死んだあの日のことを思い出します。「お父さんも突然この世からいなくなるんじゃないだろうか。」

この気持ち、ものすごいわかります。動悸が止まらない、パニックに陥る、恐怖感、不安感で、どうしようもなくなってしまう気持ち。わかるわかる。私も子どものとき、何度もそんなことありました。Jimmyが亡くなっても、Morganは寂しいのだけれど、どこか現実感が湧かない、現実を受け入れきれていない、というのか、悲しみの感情が実感できない、というところ。私もわかる~。わかりますよ~。

そんなMorganを心配したお母さんは、精神科のお医者さんに面接にいくことを勧めますが、そんな必要はないと突っぱねます。私はそう言ってくれる大人がいなかったので、何十年も放置していましたが、Morganがそんな必要ないって突っぱねる気持ちもわかります。「私は大丈夫」って思うのです。

でもやっぱり大丈夫じゃなかった。最後にMorganは、精神科医の叔母さんを頼って行きます。とても心強い人が近くにいて、よかったです。叔母さんはMorganに言います。今頃になって心に痛みを感じるのは、あなたが自分自身を痛みから守っていたからよ、と。そうなんですよね。私も数十年たって、そのことにやっと気がついたことを思い出しました。痛みを感じている今が、その問題と向かい合うときよ、と。

あまりに過酷な出来事に遭遇したとき、一時的に感情や感覚がマヒしてしまう。これも自分を守る術。心のクッションとでもいえましょう。Morganが感覚を取り戻し始めたとき、頭が混乱して、気が狂いそうだと叔母さんに伝えます。わかる~!あったよ、私もあった~><;

精神安定剤を処方してくれるよう頼むMorganに、クスリを渡さない叔母さん。気が狂ったりはしない。そう言葉をかける叔母さん。いいなぁ、そういう存在が近くにいたMorganは幸せですね。私も今すぐに意識を失くさなければ、気が狂ってしまうというような錯乱した状態に何度も陥ったことがあるので、本を読みながら、もう他人事とは思えなかったです。

私の場合は何十年も放置してきたので、いい年になってからその問題と向かいあったわけですが、Morganのように、すぐに向かい合えたらきっと、立ち直りも早いのではないでしょうか。

Jimmyとの関係も良好だったことは、ダメージは大きいのでしょうが、立ち直りは素直に行くと思います。フクザツな関係であれば、苦戦しますね。ま、そんな自分の思い出もよみがえりつつの読後感想。

絵本とはまた違って、どっぷりと浸れるのがいいですね。とても面白かったです。