ノルウェイの森

ノルウェイの森

ノルウェイの森(上)(下)読みました。映画化されるとの事で、実は村上春樹さんの本は読んだことなかったのですが、ちょっと手にとってみたのでした。どんな話かも全く知らずに。

読み終えてからアマゾンでレビューをいくつか読んでみましたが、好き嫌いがはっきりと別れる作品なのですね。私は好きでした。

かなりエッチな描写もあったりして、官能小説を思わせる部分もありましたが、全体的には私は若者の不安定な心を上手く描いたものではなかったかと感じました。直子という、儚げな今にも消えてしまいそうな女の子がでてくるのですが、彼女は精神を病んでいて、必死でよくなろうとがんばるのですが・・・。そんな彼女に対して、私自身のこととも重なったりして、共感する部分も多々ありました。私も心が弱いので、彼女の苦しさがわかる気がするのです。

それに対して緑という、とても元気で健康的でちょっぴりわがままな女の子が出てきます。一見普通の元気な女の子のように思えるのですが、彼女もまた難しい家庭環境に育ち、なかなか上手に甘えることができません。これもとってもよくわかるのです。

主人公のワタナベくん、非常にたくさんの女の子と気持ちもないのに寝ちゃったりして、女性としてはそのような行動は好ましく思えないのですが、でも憎めないワタナベくん。彼は彼なりに悩み、苦しんでいるんだなっていうことがよくわかります。
二人の女性を愛してしまい、その狭間で苦しむさまは、読んでいてこちらまで苦しくなってきました。出口の見えない彼を救ってくれたのが、直子と親しかった年上の女性レイコさん。素敵な女性です。私と年が近いのですが、あんなふうになりたいものです。このレイコさんも過去にいろいろあって・・・。この小説に登場する主な人物はそれぞれ何か問題を抱えています。でも現実を見ても、問題を抱えていない人なんていないのだし、何が特殊な過去かなんて、区別するのもばかばかしくもあります。

だから私はこれらの人たちの事情を、ちっとも特別なものだとは感じませんでした。最後になぜレイコさんと??なんて部分もありましたが、あれは男女の愛というよりも、人間愛だったのかな~なんて思って読んでいました。二人の会話を読んでいてもそう思いました。

p>エンディングはワタナベくん、やっと前を向いて歩き出す決心がついたような感じで、ほほえましかったです。

以上がわれもこの感想でした~。